ポリオ(急性灰白髄炎・小児麻痺)とは
ポリオとは、ポリオウイルスが、せき髄の神経細胞に感染して、腕や足が麻痺する伝染病です。ポリオに感染し人の便中にポリオウイルスが排泄され、これが口に入ることによって感染します。感染すると、9割以上の人は症状がでないで免疫ができますが、1割程度の人はカゼ様の症状を呈し、まれに重症になる人もいます。
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ポリオのワクチンについて
現在、ポリオの免疫をつけるために接種されているワクチンは、弱毒化したウイルスを使用した安全なワクチンです。しかし、接種されたワクチンのウイルスが、接種後に腸内で増殖し、体外に排泄されて人から人へとうつっていく間に、弱めた毒性があともどりして強い力を持つようになり、感染者に麻痺を起こす可能性があります。日本では、ポリオの予防接種をした乳幼児から免疫を持ってない家族が感染し、麻痺をおこす可能性は、接種約500万回に1人となっています。
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国の調査により、昭和50年から52年に生まれた方は、他の年齢層に比べてポリオの免疫を保有している方の割合が低いことがわかりました。この年齢層の方は、小さいときにポリオワクチンを接種していても、ポリオウイルス常在国に渡航される時など、再度ポリオワクチンの接種(追加接種)を受けた方が良い場合があります。
しかし、現在、わが国で使われているポリオワクチンは、生ワクチンであるため、接種される場合には、いくつかの注意が必要になります。
1 ポリオウイルス常在国に渡航されるとき
ポリオの免疫を有していない方がポリオウイルス常在国に旅行した場合、まれにポリオに感染し麻痺を起こす可能性がありますので、追加接種を受けるなどの注意が必要です。
ただし、きわめてまれですが、接種直後は他の人に感染させ、麻痺を起こさせる可能性がありますので、身近に免疫を有していないワクチン未接種の乳幼児などがいる場合には、注意が必要です。
2 小さいお子さまが御家庭にいらっしゃるとき
きわめてまれに、ポリオの免疫を有していない家庭が、ポリオの予防接種を受けた乳幼児からの感染により、麻痺を起こす可能性があります。ワクチンの接種を受けていない方などは、乳幼児の便に直接手を触れないなど、感染を防ぐ注意が必要です。
家族がワクチン未接種の乳幼児より先にポリオの追加接種を受ける場合は、きわめてまれですが、追加接種を受けた家族から、免疫を有していない乳幼児に感染し麻痺を起こす可能性があります。この時期に追加接種を受けることは、あまりお勧めできません。
ポリオのウイルスには、T型、U型、V型があります。昭和50年から52年に生まれた方は、他の年齢層に比べて、T型に対する免疫を有している方の割合が低くなっていますが、U型に対しては、他の年齢層同様、高い割合で免疫を有しています。今まで、この3つの型のどれかの免疫を有している方が、他の型のポリオに感染して重症になった例はありません。この年齢層の方でも、小さい時にワクチンを接種していれば、あまり心配することはないでしょう。
不明な点は、市町村保健センターの予防接種担当、あるいは保健所の保健予防推進担当までお問い合わせください。
接種される場合の手順など、具体的な話については当院にお問い合わせください。
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